世をひねる

甲信地方(山梨県と長野県)の寺院・神社建築を語る雑記。

【茅野市】諏訪大社上社前宮 ~諏訪大社最大の謎がここにある?!~

今回は長野県の超メジャー観光地、諏訪大社上社(すわたいしゃ かみしゃ)の前宮(まえみや)について。

 

ご存知の通り諏訪大社には上社・下社があり、両社とも2つの境内を有しています。上社には本宮と前宮、下社には春宮と秋宮があり、都合4つの境内が点在しているということです。ウェブなどのメディアでは“諏訪大社4社(四社)”と呼ばれていますね。

他の3社(本宮と春宮・秋宮)の周辺は飲食店や土産屋が立ち並んでいて観光地化されているのですが、どういうわけか前宮だけは観光地化されておらず、休日でも人出はあまり多くはありません。冬場の積雪している時期に来てみると休日でも閑散としています。そんな地味で不遇な印象のある前宮を解説していきます。

 諏訪大社上社前宮へのアクセスは最寄りの茅野駅から徒歩30分くらいの距離です。

無料駐車場は境内入り口の大鳥居の向かいにあり、30台分程度の広さです。

 

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入り口の大鳥居を少し過ぎた場所から撮った境内。前宮の境内は縦長なので、写っているのは境内のごく一部です。

写真左に写り込んでいるのは十間廊、鳥居の奥に見えるのは内御霊殿です。

 

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まずは十間廊(じっけんろう)から。文字通り、柱間が10あります。

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別アングル。幅十間、奥行三間ですね。なお、柱間の距離は一間(1.8m)も無いと思われます。

 

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続いて内御霊殿(うちみたまでん)。銅葺きの流造り。小規模な社殿ですが三間社になっています。母屋の柱も円柱です。

 

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少し坂道を進むと、その先に本殿があります。写真は拝殿、と言いたいところですが母屋のない吹き放ちの建造物なので“拝殿”とは言えません。“拝所”ですね。お参りをするときはこの前に立って二礼二拍一礼することになります。

 

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本殿を囲う瑞垣の周囲には、御柱が建てられています。後側を見ると扁平な面になっていますが、これは里曳きの際にアスファルトで舗装された道を引きずってきたからですね。ここに限らず、上社本宮の御柱もこんな感じになっています。

 

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そしてこちらが本殿です。銅葺きで平入の切妻です。

神明造りでも流造りでもないので、切妻としか言いようがないですね...

装飾と言えるようなものは舟肘木くらいしか見えず、シンプルな外観。部材は伊勢神宮の本殿から下賜されたものとのこと。

他の3社(上社本宮と下社春宮・秋宮)には本殿が無いのですが、なぜかここだけ例外的に本殿が存在します。やはり前宮は諏訪大社4社の中でもどこか浮いた存在だと思います。

 

前宮の祭神は本宮などと同様、タケミナカタとその妻・八坂刀女(やさかとめ)とされています。しかし実際は、それらとは別の土着の神(このあたりではミシャグジと呼ばれる)も祭られているようです。

ミシャグジの正体が何なのかについては諸説紛々で、かの柳田國男氏やwikipedia先生を以てしてもはっきりとした説明ができていないのが実状です。とてもじゃないですが、当ブログで解説できるような生易しい代物ではございません... 諏訪大社当局も説明に困っているのでしょうか、案内板を読んでみてもミシャグジに関する記述が敢えて避けられているような感じです。ミシャグジが何なのかは謎ということで置いておくとして、我々は一体何者なのか解らないような神でも有難がって拝んでいるというわけですね。信仰というものは、対象物とか御神体とかは案外なんでも良かったりするのかもしれません。

 

以上、諏訪大社上社前宮でした。

(訪問日2019/04/13)