世をひねる

甲信地方(山梨県と長野県)の寺院・神社建築を語る雑記。

【安曇野市】有明山神社本宮(里宮) ~信州屈指の豪華さを誇る裕明門~

今回は長野県のマイナー観光地ということで、有明山神社(ありあけやま-)について。

 

有明山神社は旧穂高町(現安曇野市)にある山岳信仰の神社で、有明山を御神体としています。山が御神体なので本殿がない、というのは諏訪大社木曽御嶽神社とよく似ています。

有明山はこんな山です。

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台形のシルエットをしており、近辺にこれより高い山がないので判りやすいです。

 有明山神社へのアクセスは有明山神社バス停が最寄りで、鉄道駅なら細野駅から徒歩1時間くらいの距離です。

無料駐車場は境内の入口あたりにあり、30台分くらいの広さです。

 

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鳥居。左にある高札には、祭神が書かれていました。

有明山神社の近辺は別荘地といった雰囲気で、個人経営と思しき小規模な飲食店がまばらに点在しています。安曇野市街からはちょっと距離のある立地なのですが、“人里離れた”感じではないです。

 

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手水舎。寒冷地ですが、冬(3/15)でもちゃんと水が出ています。屋根は瓦葺きで、しゃちほこや鬼瓦まで載っています。軒下はびっしりと彫刻で埋め尽くされていて、豪華。

 

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随神門(裕明門)。正面だけでなく、裏側も彫刻が施されています。この門は明治後期のものとのこと。

この手の彫刻が施された豪華な建築は、たいていは江戸時代末期かそれ以降のものです。国重文の諏訪大社下社が江戸時代末期であるところから考えると、市指定文化財に留まっているこの門が明治以降のものであるのは容易に想像がつきます。

とはいえ、長野県内の寺社でこれほど複雑で情報量の多い門は無いですね。私の知る限りでは。国指定では無いですが、秀逸な文化財だと思います。

 

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内部には鳥獣の天井画。写真の端に写っているように、ここも彫刻があります。

 

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随神門の下から見た拝殿。前日は雪だったのですが、参道は除雪されています。私が訪問したときも、神官の方が雪かきをして居られました。

 

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狛犬。引き締まった体型をしていて、なんとなく雌のライオンを彷彿とさせます。

 

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途中、こんなものがありました。

京都・龍安寺にある“つくばい(蹲踞)”を模した石碑ですね。立てた状態で置いてあるので、つくばいとは呼べません。表側は吾唯足知(われ ただ たることを しる)ですが、裏側には吉呼員和(きち よんで かず わす)とあります。

有明山神社に奉納された歌集を記念した石碑だそうですが、歌集とこのつくばいにどのような関連性があるのかは謎です。

 

本来、つくばい(蹲踞)というのは中央部に溜めた水で手を清めるためのものなので、この石碑の中央をくぐると身を清める効果がある...みたいな理屈でしょうか。

理屈にはあまり納得できないですが、寺社にあるこの手のアトラクションは大好物なので、私もやってみることにしました。しかし、石碑が露で濡れている上、くぐった後は雪の上へ体を投げ出さないと穴から出られなさそうなので、上半身を通したところで断念しました。

中央の穴は一片60cmくらいあるので、よほど酷い肥満体でない限りは難なくくぐれます。

 

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拝殿。現代的な神明造りです。

外陣にはウズメ(鈿女)とサルタヒコ(猿田彦)の図。この2人は、双体道祖神(夫婦の図が彫られた道祖神)のモチーフという説もあるので、安曇野に縁のある神と言えるでしょう。

 

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渡り廊下の下を、体を屈めてくぐって裏側に出ると、滝と社殿があります。社殿は一間社流造り。

千木(屋根の棟にあるX字状のパーツ)の上に棒が渡されているのがちょっと個性的。

 

なお、有明山神社は山が御神体なので、本殿はありません。有明山の山頂に奥宮があるらしいですが、さすがにそこまで行くには本格的な登山の装備が要るので、今回は行っていません。いつか行ってみたいですね...

 

以上、有明山神社でした。

(訪問日2019/03/15)